世界の先進的教育について知りたい方へ。「個性」と「共生」を大切にするオランダのイエナプラン教育を徹底解説します!

皆さんはオランダで普及している「イエナプラン教育」をご存知ですか?
日本ではまだまだ知名度が低いので、何それ?と思われた方も多いかもしれません。
「イエナプラン教育」とは、子どもたちの個性を大切にして、他の子供たちとの対話を重視する学校教育のことです。
日本で行われているような画一的な一斉授業の問題点も指摘される中、オランダのイエナプラン教育は近年注目を集めています。今回は「イエナプラン」とはどのような教育法なのか、その特色について徹底解説したいと思います!

目次

イエナプラン教育が生まれた背景

イエナプラン教育の理念

イエナプラン教育の特徴

イエナプラン教育の良さ

まとめ

イエナプラン教育が生まれた背景

一人ひとりの良さや強みを認め合いながら自律と共生を学ぶ「イエナプラン教育」は「オルタナティブ教育(従来とは異なる新しい方法を採用した教育)」のひとつです。発祥はドイツのイエナ大学の教育学者であるペーター・ペーターセン(1884~1952)が同実験校で実践していた教育モデルにあります。1927年に開催されたスイスでの教育会議でその成果を発表し、それをきっかけにペーターセンの教育案は「イエナプラン」として知られるようになりました。しかし、1949年に同実験校も閉校、ペーターセン自身も1952年に亡くなったことにより、イエナプラン教育はあまり普及しませんでした。

その後、オランダ人のスーザン・フロイデンタール・ルッター(1908~1986)が、イエナプランを積極的に紹介したため1960年代に最初のイエナプラン教育を導入した学校(イエナプラン校)がオランダに開設されました。オランダでは憲法で教育の自由が保障されているため、他国の教育手法を自由に取り入れることができます。そうした背景もあり、イエナプラン教育校はオランダで急速に増え、現在ではオランダ内に小学校を中心に220校以上が存在するそうです。日本でも2019年4月に、初めてイエナプランを取り入れた小学校、「大日向小学校」がオープンして話題を呼んでいます。

イエナプラン教育の理念

イエナプラン教育校に認定されるための条件は、オランダのイエナプラン教育協会が定める「20の原則」を満たした教育を実践することです。「20の原則」とは、ペーターセンの著作の内容を簡潔にまとめたもので、イエナプラン教育の根幹となるものです。
イエナプラン教育の目的は、自分や他者の弱さも受け入れ、協働しながらより良い社会のために積極的に活動できる大人を育てることです。その目的に基づいて、他者との関わりを重視しながら目標に向かう姿勢を身につけます。そのため、障害のあるなしに関係なくすべての子どもが同じ教室で学べる環境を整備しています。

イエナプラン教育の特徴

① 「リビングルーム」と捉えられる教室

イエナプランでは教室を「リビングルーム」ととらえます。「リビングルーム」が一般的な教室と異なる点は、自由に移動可能な机や椅子が配置されていることです。そのため子どもでも動かしやすいような軽い材質で作られています。日本のように全員が前を向いて座るのではなく、机や椅子を動かしてグループ活動がやりやすいように工夫されています。
教室の内装も、グループリーダーと子どもたちが話し合いながら決めていきます。これには「学校が単に知識や技能を学ぶ場ではなく、子どもたちが子供同士、教員、または保護者と生活を共にする場である」という意味合いが色濃くあります。

② 異年齢の学級編成

イエナプラン教育の学級はマルチエイジグループ、つまり異年齢の子どもから編成されます。1クラスは通常25~30名程度で3学年が混在したいくつかのグループ(根幹グループ、ファミリーグループとも言う)に分かれます。子どもたちはそのグループの中で年少・年中・年長の3つの立場を経験しながら成長します。小学校の場合はそれを3学級繰り返します(オランダは4、5歳~12歳まで8もしくは9年間小学校に通います)。学級担任の先生は「グループリーダー」と呼ばれ”ティーチャー”ではなく「ファシリテーター(集団活動そのものに参加せず、中立的な立場から活動の支援を行う人)」として子どもたちの学びを促進します。3年間の間、グループリーダーは原則交代しません。

③ 循環する4つの活動

イエナプラン教育においては、教科ごとの時間割は作りません。
「会話・遊び・仕事(学習)・催し」という4つの基本活動を循環させます。
会話:みんなで輪になってグループリーダーも生徒と共に参加して行うので、サークル対話ともいいます。
遊び:算数や国語などの学習に遊びの要素が取り入れられたものです。踊りや演劇、スポーツなども含まれます。
仕事(学習):課題を設定してそれを達成するための活動のことをいい、自立学習共同学習があります。
催し:週のはじめの会、週の終わりの会、特別の年中行事、教員や生徒の誕生日などです。
これらの活動によって、喜怒哀楽の感情を共有し、学校における共同体意識や責任感を育むことが主なねらいとされています。

④ ワールドオリエンテーション

イエナプラン教育では理科・社会科の区別がなく「ワールドオリエンテーション」という教科横断型の総合学習を採用しています。「環境と地形」「コミュニケーション」「共に生きる」などの7つの経験領域に分類されるテーマに従い、子どもたちはそれぞれの興味のある分野について、様々な視点、アプローチで掘り下げ探求していきます。学んだことは仲間と共有し、グループ学習としても深めていきます。

⑤ 健常児も障害児も共に学ぶ

生徒集団を可能な限り、現実の社会を反映した集団と捉え構成しようとする考えに基づいた、インクルージョン教育(健常者と障害者を同じ教室で学ばせる包括的教育のこと)を目指しています。そのため、早い時期から特別のニーズを持った障害児の受け入れを進めています。

イエナプラン教育の良さ

イエナプラン教育の良さとして第一にいえるのは、「違いを学び尊重できるようになる」ということです。
年齢も性別も違う子どもたちがサークル対話で意見を共有しあったりすることで、他者との違いを理解し、他者とどう関わっていくかを学べるようになっています。
また子どもたちが4つの基本活動などを通して自主的にコミュニケーションを取り、総合的な問題解決能力を養っていくことで、現実の集団生活を想定した社会性も発達すると考えられます。

また、イエナプラン教育で重視されるのは子どもの発達や個性に合わせて学ぶことです。グループリーダーも一人ひとりに違った課題を与えていきます。例えばその子の理解が遅ければ下の学年の内容をやり直す、得意な分野によっては応用的な内容に進む、などということも見られます。グループリーダーは一人ひとりに最適な学び方や教材を考えて課題を出しますが、その課題を進める計画や順番は子ども自身が決めていきます。そして、ブロックや絵などさまざまな学び方を経験して学び方を固定しないことも大切にされていることの一つです。

まとめ

イエナプラン教育について解説しましたが、いかがでしたか?
異年齢で構成されている学級や個人の学習の進度に合わせた教育など、日本の教育と比べると新鮮に感じられる点がたくさんありましたね。日本でイエナプラン教育が普通に行われるのはまだまだ先のことかもしれませんが、その考え方や精神は、子育てや家庭学習においても参考にできる部分がたくさんあるのではないでしょうか?自主的に考える子どもを育てるためにぜひご家庭でもイエナプラン教育の考え方を取り入れてみてくださいね!

 

 

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